認知症の治療ガイド

-椎間板ヘルニアの経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)-

椎間板ヘルニアの経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)

椎間板ヘルニア

椎間板は、腰椎(背骨の腰部分)にある椎骨と椎骨に挟まれ、椎骨にかかる力をクッションのように吸収する役割を果たしています。外側は繊維輪といい、殻状で丈夫ですが、髄核と呼ばれる内部はゼリー状で軟らかいです。椎間板は年齢とともに水分が減り、柔軟性が失われます。

椎間板ヘルニアは、前かがみで重い物を持ったり、不規則な動きを繰り返したりすることで、椎間板が圧迫され、内部の髄核の一部が背中側に飛び出し、時には完全にはみ出した状態をさします。飛び出した部分が、背骨の後ろに走っている神経を圧迫すると、腰痛や足のしびれが起きます。


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経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)

治療法は、骨盤をけん引し椎間板にかかる力を減らしたり、薬や注射で痛みを和らげながら自然な治癒を待つ保存療法が一般的です。

保存療法で治るのが4分の3、残る4分の1は効果が見られず、別の治療が必要になるといわれてます。

確実なのは、切開手術を行い、飛び出した部分を除去することですが、1週間から10日間程度の入院が必要になります。そこで、入院の必要がない治療法として、米国の医師が1987年に始め、世界に広まったのが「経皮的レーザー椎間板減圧術」(PLDD)です。

特殊な針を腰に刺し、レーザー照射用のファイバー(細い管)を椎間板まで入れ、髄核の中心部を一部だけレーザーで焼きます。それによって内圧を下げると、飛び出した髄核が自然にしぼみます。

神経は40度程度の熱で傷むため、レーザーは周りの神経を傷付けないように正確に当てる必要があります。エックス線撮影で位置を決めるのが一般的ですが、エックス線では椎骨は見えても、椎間板が映らない弱点がありました。

そこで慈恵医大柏病院では、1998年からCT(コンピューター断層撮影)装置を使った治療を行っています。CTでは椎間板が見え、針を刺す位置を正確に決めることができ、安全性が高まります。

PLDDを実施できる条件としては〈1〉腰痛や足のしびれなどの症状が、画像検査で椎間板ヘルニアが原因と診断できる〈2〉6週間以上の保存療法で効果がなかった〈3〉70歳以下で、重大な合併症がない、などがあります。

レーザーを照射する時間は10~15分で、位置決めなどを含めても40分程度で終わります。日帰り治療が可能です。

同病院で188例を治療した結果、約9割の172例は症状が好転し、9例は変化なし、7例は後に切開手術が必要になりました。髄核の突出が大き過ぎたり、椎間板の柔軟性が乏しいと回復しない場合もあります。「経皮的レーザー椎間板減圧術」(PLDD)は、条件にあう患者に絞って行うことが大切で、100%良くなるわけではありません。

同病院でのCTを使ったPLDDは、国の高度先進医療として承認されています。治療自体にかかる費用約17万円は患者負担ですが、それ以外の診察・検査費用は保険適用されます。

高度先進医療は慈恵医大柏病院だけですが、CTによるPLDDは埼玉県深谷市の佐々木病院でも受けることができます。通常のPLDDは椎間板ヘルニア治療に取り組む多くの医療機関で行っています。


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関係医療機関

慈恵医大柏病院

佐々木病院


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